最近のお話です。弊社のプログラムを受けて希望大学に進学したクライアントさんが約3年ぶりに相談に訪れてくれました。
久しぶりにお話をお聞きすると、なんと経済的な理由で大学を1年で中退されていました。その後1年間やる気を失って引きこもり、その後何とか勇気を出して家から出て、現在までアルバイトを転々として仕事を探しているとのことでした。
しかし、自分の力ではどこも採用してもらえなかっため、公的な相談窓口に行くと、民間の福祉サービス企業を紹介されたとのことです。よくわからないまま、精神障害者手帳を進められて取得し、就労移行支援を受けることになったと説明してくれました。
本人は、発達障害などの診断を受けたこともなく、知能も平均以上ありますし、勤労意欲も自立心も高いです。それが、不思議なことに精神障害者3級に認定され、福祉モデルでのライフコースへと誘導されてしまい、どうしたらいいのかわからないと悩んでいたそうです。
経済的な問題で大学を中退して、落ち込んで立ち直るまでに時間がかかってしまったが、自分で勇気を出して社会で再チャレンジしようとしたら、なぜか障害者にされてしまった。もしかしたら、もう自立する人生は歩めないのだと諦めたとのことでした。そして、そんな自分はやはり一般社会で通用しない人間で、生きていても仕方がないとまで、考えていたとのことでした。
そのお話をお聞きして、私たちもショックを受けました。その福祉サービス会社では、心理テストなども行われなかったとのことで、彼のニーズや希望なども形式的に捉えられて、よくわからないうち障害者手帳を与えられていたからです。ビジネスとしては、社会制度をうまく利用したサービスであるとも言えますが、本人の希望やニーズを無視していては本末転倒ですし、社会保障制度が歪んでしまいます。
そのお話をきいて、本人に弊社のグループ企業が正社員募集を行っているので、情報提供したところ応募したいとの希望でした。早速推薦して、自立して働けるように採用を進めていくことにしました。これから社宅をご用意して、各種手続きを行えば一般就労できます。本人もとても喜んでおられて、明るい笑顔で帰っていかれました。
社会的役割をきちんと担える若者が、自分の意思や能力に反して障害者とされてそのライフコースに誘導されている現実をみて、ショックを受けました。これは、ある意味で利益誘導となることもあり、当事者にとって不利益になるケースも派生します。それゆえ、そういう若者のためにも、健康で健全なライフコースを開発するこの会社を永続させていかなければならないという気持ちが改めて強くなりました。弊社のライフコースケアというサービスは、愛をもって気づかい、心をこめてお世話をするというケアの精神を尊重しています。