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算数が苦手。算数障害かな?

算数が苦手!という子どもさんの保護者の方からの相談が増えています。

いくら教えても算数ができない。

時計を読むのが遅くて心配

子どもが算数障害と診断され治療法もないと言われたので混乱しています。どうしたらいいのでしょうか?

本人の特性にあった数的な訓練をしてくださいと言われましたが、どんなトレーニングをしたらいいのでしょうか?

算数障害は、治療法がないので、諦めてスマホなどの計算機を使えばいいですよね。など
というお悩みの相談が多いですね。

結論から言うと、個々人によって算数の苦手さの原因は異なります。実は、根本的に改善できるタイプの方も多いので、診断が出たからといって諦める必要はないと思います。


私も、35年以上前から、多くの算数が苦手な子どもたちや算数障害とされた方々の指導をしてきました。たいていの場合、数の構成レベルから独特な思考パターンがあり躓いていました。


例えば、数の大小や順序、加法、減法なども簡単なテスト問題なら解けるのですが、生活レベルに落とし込むと混乱する場合が多いのです。

例えば、中学生でも1,000円札1枚と100円硬貨6枚なら、100円硬貨6枚の方が数が大きいとの反応が一定の頻度で出ます。算数のペーパーテストでは正解できても生活レベルでは間違いが増えていきます。なんとか分数計算はできるようになっても、窓を1/3開けてくださいとお願いすると混乱して、全開にしたりします。これでは、生活でのエラーが多発して、問題が積み重なっていきます。

 

このような場合には、その子供たちに数のイメージを尋ねてみます。

イチと聞いてどのようなイメージをしますか? → Aさん・孤独 B君・暗い

ニと聞いてどのようなイメージをしますか?  → Aさん・うさぎ B君・太陽

サンと聞いてどのようなイメージをしますか? → Aさん・おやつ B君・化石

というような答えが返ってくることも多くあります。

さらに、1+2=? と聞くと、3と答えられるのですが、イメージは孤独なウサギ。2+3=5とわかるのですが、うさぎがおやつを食べる。というイメージでとらえているとのことです。数学的思考のベースからバイアスが派生していることがわかります。


また、アナログ時計などの読みが遅かったり、短針の位置を間違えたり、30分以降の時間の読み取りが困難になったりしていることがあります。ですから、時間の予測ができにくいために、時間軸を中心とした約束を守れなかったり、予定が立てにくくなり、社会人になってから契約が守れないという問題が起こりやすくなります。


本人なりになんとか約束を守るために、約束時間より数時間以上も前から待っていたり、自動車やバイクなどはガソリンの減りと距離の関係が掴めないために、残量計が少し減っただけで給油をするなど生活上のロスが多発します。


このように、自分なりの理解で算数の見方や考え方を編み出して適応しようとしていることがわかります。ある意味での認知バイアスでもあり、日常生活などでも問題解決能力を十分に発揮できなくなります。

 

数学レベルになると、関数やデータ活用などが求められるようになりますが、単なる暗記で乗り越えようとするために、論理的な問題などは混乱して一種のパニックを起こして逃避的になったり、自尊心が低下します。日常生活においても数学的な問題解決が求められると攻撃性が出たりして、社会的な問題まで派生することも起こります。


算数、数学的な見方や考え方は、特に日本の社会においては目に見えないところで求められ続けるので、算数や数学が苦手ですと、不利益な状態におかれやすくなります。カードで簡単にお金を借りて返せなくなり与信が知らない間に低下していたり、投資詐欺商法に引っかかってしまうなどして、金銭的な問題を抱えやすくなります。そこから犯罪に巻き込まれて、被害者から加害者へと誘導されることさえあります。


ですので、算数の苦手さがあったり、算数障害とされた場合は、まず小学校1年生の教科書からやり直すことが大切です。ただし、計算をさせれば良いのではなくて、どのように数を理解しているかを把握していく必要があります。

特に知能が高いととても独特な解法を編み出していることがあります。たとえば数は8を中心に上下の数から計算を考えたり、計算問題でもいきなり答えだけを書いたりします。

その場合は、算数の思考過程をなぞって本人の解法や理解の仕方から把握して修正していく必要があります。


ただし、発達上の課題が背景にある場合は、それだけでは、算数の苦手さからは抜け出せません。それは、視覚からの入力のバイアスが派生していることもあり、このバイアス状態を情報として収集して、分析しながら認知情報処理システムに介入して、再トレーニングを行います。そしてそれまで学んだ独特の学習をアップデートしていく必要があります。


これは、高度な技術が必要で時間もかかりますが、成功すると、学校にほとんど行けなかった中学生でも(知能にもよりますが)、半年強程度で高校までの数学が理解できるようになる場合もあります。どんどん挑戦したくなるので、東京大学の数学の問題にチャレンジするようになります。東大の問題はよくできていて、ヒントのないストレートな問題が出ますが、それにもある程度ついていけるようになります。

 

また、他の算数が苦手だった方も、理科系大学へ進学したりできるようになったり、生活レベルでも数的なエラーが減少するようになり、ストレスなく人生を歩んでいけるようになります。

ここには書ききれないので、ご興味のある方は、こちらまで遠慮なくご相談ください。算数の苦手から抜け出せる可能性を見ることができますよ。

 

 

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